• こんな症状があったら、甲状腺の病気かも?!
• 健診で「甲状腺の異常」を指摘された!
• 「甲状腺腫大」って?
• 甲状腺ホルモンって?
• 甲状腺ホルモンが多くなる病気
・バセドウ病とは
–どんな症状?-
– どうして発症するの-
– 治療方法は?-
・亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎
• 甲状腺ホルモンが少なくなる病気
・橋本病とは
– どんな症状?-
– どうして発症するの-
– 女性に多い!-
– 治療方法は?-
• こんな場合も甲状腺の機能異常?
• 甲状腺の腫瘍
•甲状腺の異常かな?と思ったら
•こんな症状があったら、甲状腺の病気かも?!
• こんな症状があったら、甲状腺の病気かも?!
☑動悸がする
☑手がふるえる
☑とても汗をかくようになった
☑ダイエットもしていないのに体重が減ってきている
☑月経が不順になった
☑疲れやすい、だるい
☑とても寒がりになった
☑脈が遅い
☑元気が出ない
→これらは、甲状腺ホルモンが多すぎたり、少なすぎたりして出る症状である場合があります。
健診で「甲状腺の異常」を指摘された!
健診や人間ドックで、首のあたりを触診することがあります。この場合、甲状腺の診察をしていることがあります。その結果、「甲状腺腫大」を指摘されることがあります。また、採血の結果「甲状腺ホルモン値の異常」を指摘されることもあります。頸動脈エコーで、偶然に甲状腺の異常を指摘されることもあります。
「甲状腺腫大」って?
甲状腺は、喉のあたりの表面近くにある臓器で、甲状腺ホルモンを分泌するのがそのお仕事です。
「甲状腺腫大」とは、その甲状腺が正常より大きい、ということです。
健診で「甲状腺腫大」を指摘された場合、
・甲状腺ホルモンの分泌異常がある(機能の異常)
・甲状腺ホルモンは正常だが、甲状腺の中に腫瘍がある
などの可能性があります。
専門医を受診し、血液検査や超音波検査で精査する必要があります。
甲状腺ホルモンって?
甲状腺は、喉のあたりの表面近くにある臓器で、甲状腺ホルモンを分泌するのがそのお仕事です。
甲状腺ホルモンとは、簡単に一言でいえば、「体をエネルギッシュに動かすエンジン」のような働きをしています。
これが適切な量分泌されていると、体は正常に働きます。
エンジンをふかし過ぎても、エンジンが足りなすぎても、体に負担が生じます。
• 甲状腺ホルモンが多くなる病気
甲状腺ホルモンが多すぎると、エンジンをふかしすぎてしまって体に負担が生じます。
甲状腺ホルモンが多くなりすぎる病気の代表としては、
・バセドウ病
・甲状腺の一時的な炎症(亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎)
が挙げられます。
バセドウ病とは –どんな症状?-
① どんな症状?
甲状腺ホルモンが多くなりすぎる病気の代表格です。
エンジンをふかしすぎた結果、心臓に負担が生じて脈が早くなり、動悸がしたり、鼓動を大きく感じたり、息切れがしたりします。「心房細動」という不整脈から逆に見つかることもあります。
代謝が過剰になって体重が減ったり、疲れやすくだるくなったり、腸の働きが亢進して下痢になったりすることもあります。
女性では、月経が不順になったりもします。
また、甲状腺が大きく腫れることが多いです。
「バセドウ眼症」といって眼が突出してくることもあります。
② どうして発症するの?
発症には、自己免疫の異常が関係しています。
「免疫」というと、普通は体内に侵入した異物を攻撃するためのシステムですが、これが間違って自分自身の組織に対して抗体を産生してしまうことがあり、それが「自己免疫異常」です。
自分の甲状腺にくっつく「抗体」が体内で作られ、その抗体が甲状腺にくっつくと、その刺激で甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまいます。こうして発症するのがバセドウ病です。
この抗体は、「TSH受容体抗体(TRAb)」と言われます。
バセドウ病の発症には、遺伝的な要素がある場合も多いです。
20-30代の女性に多い病気で、男女比は1:3~5くらい です。(日本内分泌学会HPより)
③ 治療方法は?
治療方法としては、多くの場合は内服でスタートする場合が多いです。多く用いられるのは「チアマゾール(商品名 メルカゾール@)」という薬ですが、他にも薬はあります。
アイソトープ治療や、手術といった方法もあります。
患者さんの状態やご希望をふまえて、治療方法を検討します。
亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎
甲状腺で一時的に炎症が起こり、甲状腺ホルモンが多くなるのが亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎です。
甲状腺の細胞には、甲状腺ホルモンがたくさん貯蓄されています。そこで炎症が起こると、細胞が壊れて中からたくさんの甲状腺ホルモンが出てきます。
亜急性甲状腺炎では、熱が出たり、喉の痛みを感じたりします。
無痛性甲状腺炎では、特に症状がでません。
甲状腺ホルモンが多くなると、バセドウ病のような症状が出てきます。
甲状腺ホルモンが少なくなる病気
甲状腺ホルモンが少なくなると、エンジンが足りなくなった症状が
出ることがあります。
甲状腺ホルモンが少なくなる病気の代表としては、
・橋本病
が挙げられます。
橋本病とは
① どんな症状?
甲状腺ホルモンが足りなくなると、エンジン不足で次のような症状が出ることがあります。
・元気がなくなり鬱っぽい
・寒がり
・徐脈
・浮腫む
・便秘
軽度の数値の異常では、あまり症状が出ない場合がほとんどです。
甲状腺が全体的に大きくなります。
② どうして発症するの?
発症には、バセドウ病と同じように、やはり自己免疫の異常が関係しています。
(「自己免疫異常」については、バセドウ病のページをご参照ください。)
自分の甲状腺にくっつく「抗体」が体内で作られ、その抗体が甲状腺にくっつくと、甲状腺の細胞で炎症がおきます。こうして発症するのが橋本病です。
橋本病のときに見られる抗体は、「抗サイログロブリン抗体(TgAb)」や「抗ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)」と言われます。
橋本病だからといって必ずしも甲状腺ホルモン分泌が低下するとは限らず、ホルモン値は正常に保たれている場合も多いです。
橋本病の発症にも、遺伝的な要素がある場合が多いです。
女性に多い病気で、ホルモン値が正常である場合も含めて、成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人みられるとされており、(日本内分泌学会HPより)頻度の高い病気です。
③ 女性に多い!
橋本病は女性に多く、ホルモン値が正常である場合も含めて、成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人みられるとされていて、(日本内分泌学会HPより)とても頻度の高い病気です。
女性では、ホルモン値が正常であっても、妊娠前に治療をした方がいい場合があります。
不妊治療のスクリーニング検査として甲状腺ホルモンや自己抗体を調べることも多いです。
④ 治療方法は?
足りていない甲状腺ホルモンを補う治療をします。
「レボチロキシンナトリウム(商品名:チラーヂン@)」という薬を使う場合が多いです。
薬は半永続的に内服が必要である場合が多いですが、薬を飲んで甲状腺ホルモンを正常に保ててさえいれば、ほとんどの場合には特に問題なく過ごせる場合が多いです。
こんな場合も甲状腺の機能異常?
健診の採血で他の検査値に異常がみられる場合、甲状腺機能異常に原因がある場合があります。
総コレステロール値、肝酵素(AST、ALT)、クレアチニンキナーゼ(CK)の上昇などは、甲状腺機能異常がある場合に合併することがあります。
このような値に異常を指摘された場合、甲状腺の病気が隠れていることがあります。
また女性では、月経不順でお困りの場合、甲状腺機能を一度調べてみることをお勧めします。
甲状腺の腫瘍
健診で「甲状腺腫大」の指摘を受けた場合、甲状腺ホルモンは正常でも、甲状腺に腫瘍がある場合があります。
甲状腺の腫瘍には
・良性腫瘍
・悪性腫瘍
があります。
人間ドックで頸動脈エコーの検査をして、偶然に甲状腺の腫瘍を指摘される場合も時々あります。
良性腫瘍であることが圧倒的に多いですが、中には悪性腫瘍の場合もあり、超音波検査のほか、細胞の検査で調べたりします。
良性腫瘍には、腺腫様結節、腺腫様甲状腺腫、濾胞腺腫 などがあり、特に治療を必要としない場合が多く、定期的な経過観察を行います。
悪性腫瘍の場合には、手術などが検討されます。
超音波検査で発見される甲状腺腫瘍のうち、悪性の割合は男性 1.9%、女性 3.18% と報告されています。(日本内分泌学会HPより)
甲状腺の異常かな?と思ったら
もし冒頭の症状に該当したり、健診で甲状腺の異常を指摘されたら、一度専門医を受診してご相談されることをお勧めします。
特に症状がなくても健診で早期に見つかる場合も多いです。
重症になって症状が出てくる前に、精査を受けることが大切です。
もし異常がみつかったら、専門医の適切な治療をお受けになり、体の負担を減らしましょう。